群像劇パーティ!

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七時間半(小説)

七時間半 (ちくま文庫)
獅子 文六
筑摩書房
売り上げランキング: 71,166

作品名:七時間半
著者:獅子文六
発行:1960年(昭和35年)
あらすじ:
東京‐大阪間が七時間半かかっていた頃、特急列車「ちどり」を舞台にしたドタバタ劇。
給仕係の藤倉サヨ子と食堂車コックの矢板喜一の恋のゆくえ、それに横槍を入れる
美人乗務員、今出川有女子と彼女を射止めようと奔走する大阪商人、岸和田社長や
大学院生の甲賀恭男とその母親。さらには総理大臣を乗せたこの列車に爆弾が仕掛け
られているという噂まで駆け巡る!
(以上、裏表紙より)

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文庫版の解説でもある通り本作は、列車を舞台にした「グランドホテル形式」の作品だ。
あらすじに出てくる人々が、主に恋慕のあれこれで狭い列車のなかを奔走する群像劇。

本作は1960年という舞台背景が色濃く出た作品で、今ではすっかり見なくなって
しまった「大衆小説」である。いわゆる純文学・私小説と呼ばれるジャンルとは区別する
作品であり、現代では「エンタメ小説」と呼ばれているが、大衆小説にはエンタメ小説には
ない『流行性』がある。いわゆる当時の流行りモノが固有名詞として出ているのだ。これは
今の小説では憚れる。最近だと「何者(朝井リョウ・著)」でTwitterとかLINEとかが登場
してはいるが。

本作の最大の魅力。それは文体から漂ってくるキュートさである。キュートだからこそ、
今読んでもモダンで、かび臭くならない。当時の流行り描写が多々あったとしても、
キュートさが、その古めかしさをも味にしてしまっているのであった。

それこそが獅子文六の魅力。
60年代のはじめに書かれたオシャレでキュートな群像劇小説の魅力である。

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<関連作>
コーヒーと恋愛 (ちくま文庫)
獅子 文六
筑摩書房
売り上げランキング: 15,079

獅子文六の代表作。これほどまでにキュートでモダンなタイトルがあっただろうか。
それはサニーデイサービスの楽曲タイトルになり、さらにジャケットを飾るほどに
秀逸な、おしゃれ題名だ。内容ももちろんキュート。


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by 3G_gi_gei_go | 2016-02-25 00:37 | 作品紹介(小説) | Comments(0)
予告された殺人の記録 (新潮文庫)
G. ガルシア=マルケス
新潮社
売り上げランキング: 10,006

作品名:予告された殺人の記録
著者:G・ガルシア=マルケス
訳:野谷文昭
発行:1983年(昭和58年)
あらすじ:
町をあげての婚礼騒ぎの翌朝、充分すぎる犯行予告にもかかわらず、
なぜ彼は滅多切りにされねばならなかったのか?
閉鎖的な田舎町でほぼ三十年前に起きた、幻想とも見紛う殺人事件。
凝縮されたその時空間に、差別や妬み、憎悪といった民衆感情、
崩壊寸前の共同体のメカニズムを複眼的に捉えつつ、モザイクの如く
入り組んだ過去の重層を、哀しみと滑稽、郷愁をこめて録す、熟成の中篇。


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ノーベル文学賞受賞者の群像劇。港のある小さな田舎町で起こった
惨忍な殺人事件について、被害者の友人でもあった「わたし」が
町人たちに話を聞きながら、事件の真相を知ろうとする。

説明も少なく(もしくは後回しで)登場するたくさんの人物たちは、
誰も彼も、自分たちの立場・職業・身分をキッチリとこなしながら
当たり前の『ケ』の日々を過ごしている。そんな日々に稀に訪れた
素晴らしい『ハレ』の日によって、今回の事件が誘発された。

日常の隙間に入り込む非日常は、喜びか悲しみもしくはその両方を
引き起こす。それは非日常が入り込むまで分からない。

本作はミステリーではない。犯人は冒頭に説明されるし、犯行動機も
ストーリー中盤でしっかりとなされる。本作はこの事件前と事件後の、
人々の営みの変化、人間関係の変化を楽しむ作品であると感じた。

ラテンアメリカ文学独特の文体は、読む人の好みがはっきりと分かれるだろう。

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<関連作>
百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)
ガブリエル ガルシア=マルケス
新潮社
売り上げランキング: 3,454

著者の代表作。
焼酎ではない。

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by 3G_gi_gei_go | 2016-02-17 01:28 | 作品紹介(小説) | Comments(0)

ホテル・ワルツ(映画)

ホテル・ワルツ [DVD]
ホテル・ワルツ [DVD]
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オンリー・ハーツ (2008-10-08)
売り上げランキング: 207,988

作品名:ホテル・ワルツ(原題:ワルツ)
発表:2007年・イタリア
スタッフ:
 監督:サルバトーレ・マイラ
 脚本:サルバトーレ・マイラ
 出演:バレリア・ソラリーノ、マリーナ・ロッコほか
あらすじ:
トリノのホテルで働く女アッスンタは今日が退職する最後の日だったが、
職場に出ると見知らぬ初老の男が彼女を待っていた。男は、以前ホテルで
働いていた自らの娘ルチアを探しにはるばるアルゼンチンからやってきた
のだ。アッスンタがルチアの代わりに男に出していた手紙に隠された秘密
とは。そして次第に真実が暴かれていく…。
(以上、Amazonより)
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全編ワンカットでお送りする野心的な作りのホテル型群像劇。
途中、回想シーンも織り交ぜているが、そこはカメラワークの
切り替えで自然に仕上げているのも分かりやすい。

メインのストーリーはホテルの従業員・アッスンタであるが、
彼女がホテルを歩き回ることで、そのカメラフレーム内に
ほかの従業員やホテルの客が映りこみ、カメラはそちらを追
い始める。そして別のストーリーが進むという、ありそうで
なかった面白い作りをしている。

なかにはまったくストーリーを追わない人物もいる。しかし
都度都度フレームの端っこに映りこむことで、彼・彼女らの
物語をほんのりと感じることができるのも面白い。

長さも90分と短い。落ち着いた作品だ。

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<関連作>
ショパン:ワルツ集(全14曲)
ルービンシュタイン(アルトゥール)
SMJ (2012-12-05)
売り上げランキング: 1,334


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by 3G_gi_gei_go | 2016-02-10 01:39 | 作品紹介(映画) | Comments(0)

様々なジャンルの群像劇作品を紹介します。更新完了。


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