群像劇パーティ!

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カルテット!(小説)

カルテット! (河出文庫)
河出書房新社 (2016-07-01)
売り上げランキング: 181,084

作品名:カルテット!
著者:鬼塚 忠
発行:2010年(平成22年)
あらすじ:
「そこにぼくの音楽があるんです!」
バイオリニストとして将来を有望視されている中学生の開。
ところが家族はバラバラで崩壊寸前だった。ある時、家族で
カルテットを組んで観客を前に披露することに——。
家族の絆、音楽、そして淡い初恋……。心温まる涙と感動の
青春&家族物語。


名前の通り、四重奏(カルテット)を演奏する4人の群像劇。
普通のカルテットとちょっと違うのは、その4人が家族であること。

一姫二太郎の4人家族がカルテットを通して、お互いの気持ちを知り、
想いを発見し、絆を深めていく王道的物語。
主人公は二太郎の開だが、失業の父や、やさぐれ中の長姉、そして
母親と、随所に視点を切り替えて、各人のバックボーンを描くことで
話に深みを増している。

「心温まる」のうたい文句の通り、最後は王道的感動が待っている。
(その後の物語がちょっと心配な気もするが・・・)


<関連作>
カルテット!~Quartet!~ [DVD]
松竹 (2012-06-08)
売り上げランキング: 93,312

映画化もしたようですね。
「カルテット」って映画は複数ありますが、
剛力彩芽=今回の
袴田吉彦=久石譲監督
ってことで。




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by 3G_gi_gei_go | 2016-08-31 00:21 | 作品紹介(小説) | Comments(0)

クラッシュ(映画)

クラッシュ [Blu-ray]
クラッシュ [Blu-ray]
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東宝 (2012-02-24)
売り上げランキング: 14,485

作品名:クラッシュ
発表:2004年・アメリカ
スタッフ:
 監督:ポール・ハギス
 脚本:ポール・ハギス、ボビー・モレスコ
 出演:サンドラ・ブロック、マット・ディロン、ドン・チードルほか
あらすじ:

ハイウェイで起きた交通事故(クラッシュ)をきっかけとして、
その前後で起きた出来事を、様々な人物から描いた群像劇作品。
第78回アカデミー賞作品賞受賞。

オーソドックスな群像劇。

登場人物を貫くテーマ(つまり本作のテーマ)は人種差別である。
黒人・白人にとどまらずアジア人、ヒスパニックなど様々な人種が
関わり、いざこざや絆をつなげていく作品。

生粋的土着民族が主軸を担っていない多民族国家・アメリカで、
言葉が通じなかったり、風習が違ったり、姿かたちが違ったりするのは、
当然至極のことなのだろう。それにより、お互いの意思の疎通に齟齬が
生じ、ボタンの掛け違いが生じ、群像劇的な物語が動き出す。勘違いや
行き違いは群像劇のセオリーであり、生命の危機による団結もまた、
群像劇のセオリー。アメリカ国家がいわば群像劇を作りやすい壌土なの
かもしれない。

しかしアメリカ警察の現実での黒人差別は、最近でもニュースとかで
聞きますね。その状況を詳細に見せたのが、本作の取り調べのところ
なのだろうか。現実のニュースがフィクションにリアリティの増して、
いつ撃つか/撃たれるかと、ひやひやしながら見てました。


<関連作>
SIX PACKS
SIX PACKS
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HERMANN H. & THE PACEMAKERS
イーストウエスト・ジャパン (2001-10-24)
売り上げランキング: 75,908

全然関連していないけどヘルマンエイチアンドザピースメーカーズ。
全然関連してないけど「クラッシュ」て曲が入ってるんだ。




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by 3G_gi_gei_go | 2016-08-24 00:18 | 作品紹介(映画) | Comments(0)

極東セレナーデ(小説)

極東セレナーデ (小林信彦コレクション)
小林 信彦
フリースタイル
売り上げランキング: 321,012

作品名:極東セレナーデ
著者:小林信彦
発行:1987年(昭和62年)
あらすじ:
フツーの女の子が、いつの間にか<知的アイドル>になった。
CM、映画、LPと、もう大騒ぎ!! ところが、写真雑誌や、
怖い人たちが、このアイドルに目をつけて……。


80年代アイドルのサクセスストーリーと言ったところ。
物語のはじめはアイドルとして作られるフリーライター志望の
朝倉利奈(20)の視点だったのが、後半は完全に、それを
仕掛けたプロデューサーの氷川(45)視点に変わる。

本作の主人公はリナだが、彼女に関係する芸能関係者の面々の
それぞれの立場・心情をことこまかに説明する。
それは群像劇というより単純に、小林氏の書きたい筋のために
視点を飛ばしているだけのように感じる。視点のブレは喜ばしい
ものではないが、本作はもともと新聞小説である。新聞読者を
飽きさせないよう、毎日読んでもらうには、視点のブレとかは
細かいことなのだろう。きっとそうだろう。だって面白いから。

筆者の持ち味であるキャラクタたちの会話の応酬、時代分析、
そして都会(東京や神戸、そしてニューヨーク)の風景描写も、
リアルタイムで読んでいた読者を飽きさせないためには具合が良い。

上で紹介した新装版以外にも上下巻で文庫版なども出ている。


<関連作>

世間知らず
世間知らず
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小林 信彦
新潮社
売り上げランキング: 1,283,305

「背中あわせのハートブレイク」という名前でも出ている
小林信彦作品のなかでもお気に入りのひとつ。
いわゆる「学園もの」だが、舞台が終戦から2~3年の東京。
しかし全然暗くない。むしろユーモアたっぷりで、どんどん
読み進めることができる。




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by 3G_gi_gei_go | 2016-08-17 00:48 | 作品紹介(小説) | Comments(0)
Basilisk: Complete Series [Blu-ray]
Funimation
売り上げランキング: 11,773

作品名:バジリスク ~甲賀忍法帖~
発表:2003年(漫画)/2005年(アニメ)
スタッフ:
 原作:山田風太郎
 漫画:せがわまさき
 監督(アニメ):木崎文智
 出演(声優):島海浩輔、水樹奈々、速水奨、木村はるか ほか
あらすじ:

「二人手をたずさえて、両家を縛る宿怨の鎖を断ち切ろう」
四百年の永きにわたる甲賀と伊賀の宿怨を断ち切り、
共に生きることを誓い合う甲賀の弦之介と伊賀の朧。

しかし、愛し合う二人は、殺し合う運命にあった……

慶長十九年。齢七十三歳の家康は悩んでいた。
暗愚の兄・竹千代か、聡明な弟・国千代か?
混乱を極める徳川三代将軍の世継ぎ問題に決着をつけるため、
甲賀を国千代派、伊賀を竹千代として忍法の二大宗家を相争わせ、
それぞれの精鋭十人対十人の忍法殺戮合戦の結果、どちらか
生き残ったほうにそれを賭けるという厳命を下した。
先代服部半蔵との間に交わされた「不戦の約定」が解かれ、
手綱を解かれた猟犬のごとく、怨敵に挑んでゆく忍者達!
己の肉体こそが最大の武器!
人知を超えた秘術をもった、個性溢るる忍びの面々。
老若男女二十人二十色、超人奇人が相乱れ、
秘術の限りを尽くして繰り広げられる忍法争いがいま始まる!!


バジリスクは西洋の怪物の名。目を見ただけで死んでしまうという
化け物。なるほど、本作の名前にピタリをハマっている。

原作は大衆小説の雄たる山田風太郎が1958年(昭和33年)に
出した小説『甲賀忍法帖』を、せがわまさき氏が漫画化した作品。
せがわまさき氏はこれで、山田風太郎の漫画化といえばこの人、の
地位を確固たるものにした。

本作の魅力は、分かりやすくもワクワクする設定と、魅力的な登場人物
だろう。主人公らは骨太で二枚目に、異能の忍者たちは面妖で奇っ怪に、
そして女達は色っぽく・可愛く描かれている。
ややもすると、記号化しやすくなる異能キャラたちだが、そうならずに
人情味あふれる描写を見せてくれるのは、ロードムービーであることと、
山田風太郎のパワー、そしてせがわ氏の卓越した実力の賜物だろう。

いわゆるエンタメ系忍者の忍術合戦である。これが半世紀以上前に
誕生したのは驚く他にない。

漫画版・アニメ版それぞれ本筋は同じだが、アニメ版ではさらに、
一人ひとりが死ぬ理由をしっかりと深掘りして見せることで、死に
説得力をもたせようとしている。だがしかし、漫画版の深掘りもせず
結構あっさり死ぬ描写も「死」という現実を見せつけるのには効果的な
演出である。

さらに異能系にありがちな、ピンチの時の奇跡的覚醒なんてものは
なく、キャラクターの行動やその能力が、パズルのように動いて、
なるべくしてなった方向に筋が進んでいくのも、物語の強度を強くしている。

復讐と愛慕の心をテーマに描かれた忍者活劇。
日本特有の勧善懲悪で語れないすばらしい作品だった。

<関連作>
甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)
山田 風太郎
講談社
売り上げランキング: 78,208

「異能者のチームバトル」の始祖。
日本のコンテンツ界の至宝であろう。
パイオニアは古びない。

甲賀忍法帖
甲賀忍法帖
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陰陽座
キングレコード (2005-04-27)
売り上げランキング: 1,800

ついでに主題歌も。
タイトルそのまま「甲賀忍法帖」。

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by 3G_gi_gei_go | 2016-08-10 00:40 | 作品紹介(その他) | Comments(0)
ロッキン・ホース・バレリーナ (角川文庫)
大槻 ケンヂ
角川書店
売り上げランキング: 39,957

作品名:ロッキン・ホース・バレリーナ
著者:大槻ケンジ
発行:2007年(平成19年)
あらすじ:
十八歳で夏でバカだった!
バイト暮らしの耕助は、仲間のザジ、バンとパンクバンド「野原」を組み、
生まれて初めてのライブツアーへ出かけた。行く先々でグルーピーを
引っかける予定が、謎のゴスロリ娘のヒッチハイクで旅は思わぬ方向へ。
彼女、七曲町子の正体は? ツアーファイナルは成功するのか? 
耕助と町子の恋の行方は? 爆笑と感動、大槻ケンヂの青春ロック長編小説。
忘れることなんて絶対にできない最高に熱かったあの季節。



久しぶりの一気読み本だった。
スリーピース少年バンドと、38歳❝負け犬❝マネージャ、そしてワケありの
女の子を載せたハイエースが、東京から博多までライブをしながら走る
青春小説。なんせ「18歳」と「夏」と「バカ」なのだ。青春の典型を思い
浮かばずに入られないし、実際、内容は夏の青春がつめ込まれていた。

本作の主人公はおそらくバンドボーカルの耕助であり、謎の少女「町子」で
あるだろうが(あとがきにもある通り)夢を諦めたおっさん達へ向けて、
「得山」というキャラクタも、主人公級の立ち回りを見せる。
3人の過去や境遇を回想しながら、西へむかう旅路で心の変化・成長していく。
バックボーンには暗いものが流れているが、舞台である夏の風景が、そんな
重苦しさをふきとばせてくれる。

いわゆるロードムービ的な群像劇。
ダージリン急行もそうだったように、この手のパターンとして、

【目的地A】→【道中(車内〉】→【目的地B】→【道中(車内)】・・・

が繰り返されて話が進む。「目的地」では個々が自由に行動できるため、
身体行動を伴う、対外向きのアクティブな「動」が展開される。
結果、人物の性格が見えてくる。人物の過去などにつながる「きっかけ」も
提示される。
その後「道中」では皆が一箇所に固まるため、おのずと仲間内だけの
展開となる。会話行動などでの仲間内の「静」が展開され、動で現れた
「きっかけ」を使って、さらなる謎や、新たな答えが発見される。
人物の関係性はさらに深みをまし、読者は親近感を強くする。
この繰り返しにより、読者も登場人物と一緒に旅路をしているような感覚を
得るのかもしれない。

筆者の経験が多分に反映されており、筆者自身も大好きな作品と評する本作。
すっかり夏本番。帰省の車や電車内で読みふけってはいかか。


<関連作>
グミ・チョコレート・パイン グミ編 (角川文庫)
大槻 ケンヂ
角川書店
売り上げランキング: 59,675

「筋肉少女帯」で有名な筆者だが、その才能は小説も発揮されまくり。
青春系が多いので、この夏暇なら作者読みしてみては。



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by 3G_gi_gei_go | 2016-08-03 00:18 | 作品紹介(小説) | Comments(0)