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時の止まった赤ん坊
時の止まった赤ん坊
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曽野 綾子
海竜社
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作品名:時の止まった赤ん坊
著者:曾野綾子
発行:1984年(新装版2014年)
あらすじ:
マダガスカルにある、キリスト教の産院で働く日本人シスターの物語。

信心深くない私だが、それでも「導き」を感じることがある。

本書との出会いは図書館である。
夏休みを利用してガッツリした小説が読みたいなと思っていた時分、
目に入った分厚い本書(新装版)を棚から引き抜き、ページをめくる。
それは何でもないように見えて、やはり入江茜にとっては、いつみても奇妙な光景だった。
紗をなびかせたような激しい驟雨の中で、もの干しのロープに干された二、三十枚のシーツが、取り込もうとする人もないままに、滝のような雨に打たれている。
なんとも気になる・気に入る書き出しである。
そのままぐいぐいと物語のなかに吸い込まれていった。

異国の貧しい土地で働く日本人シスターが「教え」と「現実」のあいだで
葛藤しながら、修道女兼助産婦として暮らしていく日々が、淡々と描かれている。

生まれてくるから生まれてくる赤ん坊たちを、無事出産させるため、
常に最善を尽くすシスターたち。生まれることもあれば死産することもある。
五体満足でないこともある。生み出したあとも数日後に死んでしまうこともある。
それらすべてを本作は、淡々と、生活の流れとして書きつらねている。

人間の生と死が平等に、平坦に描かれる本作。久々に充実した読後感を得た。
読み終えた後、思わず本書を高らかに掲げた。意味はない。

細かいことだが文字の大きさもちょうどよかった。
本のサイズ、紙の厚み、フォントの大きさと行間が
ぴたりと合わさった木組み細工のような本。
こういう本に出合うのは一年一冊あるかないかだ。
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by 3G_gi_gei_go | 2017-08-26 12:05 | 作品紹介(小説) | Comments(0)

様々なジャンルの群像劇作品を紹介します。更新完了。


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