群像劇パーティ!

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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(字幕版)
(2015-11-01)
売り上げランキング: 115,618

作品名:オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分
発表:2015年・英
スタッフ:
 監督:スティーブン・ナイト
 脚本:
スティーブン・ナイト
 
出演:トム・ハーディほか
あらすじ:

ヨーロッパ最大規模のビル建設に伴う基礎工事を明日に控えた
工事責任者のアイヴァン・ロックは、帰路とは反対方向に車を走らせる。
ハイウェイを走る車のなかで様々な人びとに電話を掛けながら、
やるべきことに正面から向き合うため、一人ロンドンへ向かう。

ワンシチュエーションムービー。
本作は全編、車のなかであり、登場人物は運転する主人公のみ。
他の人々は姿を見せず、電話の向こうの声のみである。

彼が電話を架ける主な人物は、上司、部下、家族、そして不倫相手の4箇所。
主人公は自他共に認める義直で仕事一筋の石部金吉。
だからこその一夜の過ち。そしてこの夜の行動。

明日の大仕事も失敗させない、家族との絆も失わない。
そして新しい命も守る。正面から向き合えばきっと上手くいくと信じている。
それは彼がビルの基礎工事を仕事にしていることも、バックボーンとして効いている。

ビルの基礎工事が少しでもずれたら、上に建つ高層ビルは簡単に
倒れてしまう。手を抜くような仕事をするなと部下に叱責する主人公。
しかしその言葉は、今の彼自身への言葉でもあり上手い表現となっていた。

一人芝居の演技を愉しむ映画だ。


<関連作>
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア [DVD]
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2015-12-16)
売り上げランキング: 4,061




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# by 3G_gi_gei_go | 2017-02-01 00:00 | 作品紹介(映画) | Comments(0)
ぼくたちの好きな戦争 (新潮文庫)
小林 信彦
新潮社
売り上げランキング: 288,730

作品名:僕たちの好きな戦争
著者:小林信彦
発行:1986年(昭和61年)
あらすじ:
たのしい戦争、ゆかいな戦争、一度やったらやめられない―。
束の間の大勝利に酔い、大戦のノリを満喫する東京・下町の和菓子屋一家。
辞世の歌でギャグ合戦を展開する南の島の兵士たち。そしてアメリカ海軍の
少尉の手になる抱腹絶倒の近未来小説。めまぐるしく舞台を移しながら、
戦争は際限なく喜劇として描かれてゆく。あらゆる手法を駆使し、
笑いと仕掛けで構築したポップ戦争巨編。

(背表紙より)

私は小林信彦が大好きである。好きすぎて読み渋りするほどである。
というわけで本棚には〈わざと〉積読している氏の作品があと数冊ある。
そのなかで群像劇な作品は都度都度紹介する予定だ。

そんなわけで本作・僕たちの好きな戦争。
なんというか氏の文体をもってしても舞台の時間と、人物の視点が
目まぐるしく飛び回り、さらにはかなりのページを割いた作中作がぶちこまた結果、
全編を通した煩雑さをかもし、いささか混乱しながら読んだ。

しかしこの混乱こそ、戦時中の銃後の人々の暮らしそのものだったのだろうか。
空襲で家は焼かれ、家族や近所の人々はいなくなり、明日が今日の延長線上に
乗っていない日常を過ごす人々の心理状態。それこそ本作の全体に流れている。

なにかのエッセイで作者が、本作は難産だった旨を記していた。
それもまた心地よい混乱を来す読後感をかもす要因かもしれない。

(余談だが本作2冊買ってた)

<関連作>
2001年映画の旅―ぼくが選んだ20世紀洋画・邦画ベスト200
小林 信彦
文藝春秋
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# by 3G_gi_gei_go | 2017-01-25 00:26 | 作品紹介(小説) | Comments(0)

感情8号線(小説)

感情8号線 (祥伝社文庫)
畑野 智美
祥伝社 (2017-01-12)
売り上げランキング: 180,870

作品名:感情8号線
著者:畑野智美
発行:2015年(平成27年)
あらすじ:
荻窪で暮らす劇団員の真希はバイト仲間に片思い中。彼には彼女がいるのに
思いを断ち切れない。八幡山で同棲中の絵梨は彼に暴力を振るわれているが、
今の生活を手放せない。二子玉川の高級マンションに住む専業主婦の芙美は
夫の不倫に苦しんでいる。同じ道沿いに暮らしているのに、恋愛も悩みも
人生もみんな違っていて……。幸せへ遠回りしてしまう女性たちの六つの物語。
(文庫・背表紙より)

2017年1月からの連続ドラマ化に合わせて文庫化したものを読了。

上記あらすじで説明完了しているが、一本の幹線道路をマクガフィンとして
6人の女性視点を各1話とした全6話の短編集。しかし登場人物はすべての話で
つながりをもっており、短編集というよりは章分けの長編と言った印象。

環状八号線の沿線のそれぞれの街。道一本でつながっているにも関わらず、
メインの移動手段である、電車で考えてしまうと実は遠い。
『近いのに遠い』それぞれの街。『まっすぐ行けずに遠回りしてしまう』それぞれの街。
本作ではその描写をそれぞれの話でくりかえし表現している。
それは地理的なものだけでない暗喩のようにも読めてくる。

性格の違う女性6人+脇役数名を、細かな所作表現・描写で
書き分ける筆致は見事。実際の地名や、人物の過去・背景もしっかりと
書かれているため、登場人物はどれも説得力を持って毎日を生きていると感じる。

いわゆるオーソドックスな群像劇。


<関連作>
運転、見合わせ中
運転、見合わせ中
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畑野 智美
実業之日本社
売り上げランキング: 386,529


海の見える街 (講談社文庫)
畑野 智美
講談社 (2015-09-15)
売り上げランキング: 63,122




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# by 3G_gi_gei_go | 2017-01-18 00:00 | 作品紹介(小説) | Comments(0)

カルテット!(小説)

カルテット! (河出文庫)
河出書房新社 (2016-07-01)
売り上げランキング: 181,084

作品名:カルテット!
著者:鬼塚 忠
発行:2010年(平成22年)
あらすじ:
「そこにぼくの音楽があるんです!」
バイオリニストとして将来を有望視されている中学生の開。
ところが家族はバラバラで崩壊寸前だった。ある時、家族で
カルテットを組んで観客を前に披露することに——。
家族の絆、音楽、そして淡い初恋……。心温まる涙と感動の
青春&家族物語。


名前の通り、四重奏(カルテット)を演奏する4人の群像劇。
普通のカルテットとちょっと違うのは、その4人が家族であること。

一姫二太郎の4人家族がカルテットを通して、お互いの気持ちを知り、
想いを発見し、絆を深めていく王道的物語。
主人公は二太郎の開だが、失業の父や、やさぐれ中の長姉、そして
母親と、随所に視点を切り替えて、各人のバックボーンを描くことで
話に深みを増している。

「心温まる」のうたい文句の通り、最後は王道的感動が待っている。
(その後の物語がちょっと心配な気もするが・・・)


<関連作>
カルテット!~Quartet!~ [DVD]
松竹 (2012-06-08)
売り上げランキング: 93,312

映画化もしたようですね。
「カルテット」って映画は複数ありますが、
剛力彩芽=今回の
袴田吉彦=久石譲監督
ってことで。




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# by 3G_gi_gei_go | 2016-08-31 00:21 | 作品紹介(小説) | Comments(0)

クラッシュ(映画)

クラッシュ [Blu-ray]
クラッシュ [Blu-ray]
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東宝 (2012-02-24)
売り上げランキング: 14,485

作品名:クラッシュ
発表:2004年・アメリカ
スタッフ:
 監督:ポール・ハギス
 脚本:ポール・ハギス、ボビー・モレスコ
 出演:サンドラ・ブロック、マット・ディロン、ドン・チードルほか
あらすじ:

ハイウェイで起きた交通事故(クラッシュ)をきっかけとして、
その前後で起きた出来事を、様々な人物から描いた群像劇作品。
第78回アカデミー賞作品賞受賞。

オーソドックスな群像劇。

登場人物を貫くテーマ(つまり本作のテーマ)は人種差別である。
黒人・白人にとどまらずアジア人、ヒスパニックなど様々な人種が
関わり、いざこざや絆をつなげていく作品。

生粋的土着民族が主軸を担っていない多民族国家・アメリカで、
言葉が通じなかったり、風習が違ったり、姿かたちが違ったりするのは、
当然至極のことなのだろう。それにより、お互いの意思の疎通に齟齬が
生じ、ボタンの掛け違いが生じ、群像劇的な物語が動き出す。勘違いや
行き違いは群像劇のセオリーであり、生命の危機による団結もまた、
群像劇のセオリー。アメリカ国家がいわば群像劇を作りやすい壌土なの
かもしれない。

しかしアメリカ警察の現実での黒人差別は、最近でもニュースとかで
聞きますね。その状況を詳細に見せたのが、本作の取り調べのところ
なのだろうか。現実のニュースがフィクションにリアリティの増して、
いつ撃つか/撃たれるかと、ひやひやしながら見てました。


<関連作>
SIX PACKS
SIX PACKS
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HERMANN H. & THE PACEMAKERS
イーストウエスト・ジャパン (2001-10-24)
売り上げランキング: 75,908

全然関連していないけどヘルマンエイチアンドザピースメーカーズ。
全然関連してないけど「クラッシュ」て曲が入ってるんだ。




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# by 3G_gi_gei_go | 2016-08-24 00:18 | 作品紹介(映画) | Comments(0)

極東セレナーデ(小説)

極東セレナーデ (小林信彦コレクション)
小林 信彦
フリースタイル
売り上げランキング: 321,012

作品名:極東セレナーデ
著者:小林信彦
発行:1987年(昭和62年)
あらすじ:
フツーの女の子が、いつの間にか<知的アイドル>になった。
CM、映画、LPと、もう大騒ぎ!! ところが、写真雑誌や、
怖い人たちが、このアイドルに目をつけて……。


80年代アイドルのサクセスストーリーと言ったところ。
物語のはじめはアイドルとして作られるフリーライター志望の
朝倉利奈(20)の視点だったのが、後半は完全に、それを
仕掛けたプロデューサーの氷川(45)視点に変わる。

本作の主人公はリナだが、彼女に関係する芸能関係者の面々の
それぞれの立場・心情をことこまかに説明する。
それは群像劇というより単純に、小林氏の書きたい筋のために
視点を飛ばしているだけのように感じる。視点のブレは喜ばしい
ものではないが、本作はもともと新聞小説である。新聞読者を
飽きさせないよう、毎日読んでもらうには、視点のブレとかは
細かいことなのだろう。きっとそうだろう。だって面白いから。

筆者の持ち味であるキャラクタたちの会話の応酬、時代分析、
そして都会(東京や神戸、そしてニューヨーク)の風景描写も、
リアルタイムで読んでいた読者を飽きさせないためには具合が良い。

上で紹介した新装版以外にも上下巻で文庫版なども出ている。


<関連作>

世間知らず
世間知らず
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小林 信彦
新潮社
売り上げランキング: 1,283,305

「背中あわせのハートブレイク」という名前でも出ている
小林信彦作品のなかでもお気に入りのひとつ。
いわゆる「学園もの」だが、舞台が終戦から2~3年の東京。
しかし全然暗くない。むしろユーモアたっぷりで、どんどん
読み進めることができる。




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# by 3G_gi_gei_go | 2016-08-17 00:48 | 作品紹介(小説) | Comments(0)
Basilisk: Complete Series [Blu-ray]
Funimation
売り上げランキング: 11,773

作品名:バジリスク ~甲賀忍法帖~
発表:2003年(漫画)/2005年(アニメ)
スタッフ:
 原作:山田風太郎
 漫画:せがわまさき
 監督(アニメ):木崎文智
 出演(声優):島海浩輔、水樹奈々、速水奨、木村はるか ほか
あらすじ:

「二人手をたずさえて、両家を縛る宿怨の鎖を断ち切ろう」
四百年の永きにわたる甲賀と伊賀の宿怨を断ち切り、
共に生きることを誓い合う甲賀の弦之介と伊賀の朧。

しかし、愛し合う二人は、殺し合う運命にあった……

慶長十九年。齢七十三歳の家康は悩んでいた。
暗愚の兄・竹千代か、聡明な弟・国千代か?
混乱を極める徳川三代将軍の世継ぎ問題に決着をつけるため、
甲賀を国千代派、伊賀を竹千代として忍法の二大宗家を相争わせ、
それぞれの精鋭十人対十人の忍法殺戮合戦の結果、どちらか
生き残ったほうにそれを賭けるという厳命を下した。
先代服部半蔵との間に交わされた「不戦の約定」が解かれ、
手綱を解かれた猟犬のごとく、怨敵に挑んでゆく忍者達!
己の肉体こそが最大の武器!
人知を超えた秘術をもった、個性溢るる忍びの面々。
老若男女二十人二十色、超人奇人が相乱れ、
秘術の限りを尽くして繰り広げられる忍法争いがいま始まる!!


バジリスクは西洋の怪物の名。目を見ただけで死んでしまうという
化け物。なるほど、本作の名前にピタリをハマっている。

原作は大衆小説の雄たる山田風太郎が1958年(昭和33年)に
出した小説『甲賀忍法帖』を、せがわまさき氏が漫画化した作品。
せがわまさき氏はこれで、山田風太郎の漫画化といえばこの人、の
地位を確固たるものにした。

本作の魅力は、分かりやすくもワクワクする設定と、魅力的な登場人物
だろう。主人公らは骨太で二枚目に、異能の忍者たちは面妖で奇っ怪に、
そして女達は色っぽく・可愛く描かれている。
ややもすると、記号化しやすくなる異能キャラたちだが、そうならずに
人情味あふれる描写を見せてくれるのは、ロードムービーであることと、
山田風太郎のパワー、そしてせがわ氏の卓越した実力の賜物だろう。

いわゆるエンタメ系忍者の忍術合戦である。これが半世紀以上前に
誕生したのは驚く他にない。

漫画版・アニメ版それぞれ本筋は同じだが、アニメ版ではさらに、
一人ひとりが死ぬ理由をしっかりと深掘りして見せることで、死に
説得力をもたせようとしている。だがしかし、漫画版の深掘りもせず
結構あっさり死ぬ描写も「死」という現実を見せつけるのには効果的な
演出である。

さらに異能系にありがちな、ピンチの時の奇跡的覚醒なんてものは
なく、キャラクターの行動やその能力が、パズルのように動いて、
なるべくしてなった方向に筋が進んでいくのも、物語の強度を強くしている。

復讐と愛慕の心をテーマに描かれた忍者活劇。
日本特有の勧善懲悪で語れないすばらしい作品だった。

<関連作>
甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)
山田 風太郎
講談社
売り上げランキング: 78,208

「異能者のチームバトル」の始祖。
日本のコンテンツ界の至宝であろう。
パイオニアは古びない。

甲賀忍法帖
甲賀忍法帖
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陰陽座
キングレコード (2005-04-27)
売り上げランキング: 1,800

ついでに主題歌も。
タイトルそのまま「甲賀忍法帖」。

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# by 3G_gi_gei_go | 2016-08-10 00:40 | 作品紹介(その他) | Comments(0)
ロッキン・ホース・バレリーナ (角川文庫)
大槻 ケンヂ
角川書店
売り上げランキング: 39,957

作品名:ロッキン・ホース・バレリーナ
著者:大槻ケンジ
発行:2007年(平成19年)
あらすじ:
十八歳で夏でバカだった!
バイト暮らしの耕助は、仲間のザジ、バンとパンクバンド「野原」を組み、
生まれて初めてのライブツアーへ出かけた。行く先々でグルーピーを
引っかける予定が、謎のゴスロリ娘のヒッチハイクで旅は思わぬ方向へ。
彼女、七曲町子の正体は? ツアーファイナルは成功するのか? 
耕助と町子の恋の行方は? 爆笑と感動、大槻ケンヂの青春ロック長編小説。
忘れることなんて絶対にできない最高に熱かったあの季節。



久しぶりの一気読み本だった。
スリーピース少年バンドと、38歳❝負け犬❝マネージャ、そしてワケありの
女の子を載せたハイエースが、東京から博多までライブをしながら走る
青春小説。なんせ「18歳」と「夏」と「バカ」なのだ。青春の典型を思い
浮かばずに入られないし、実際、内容は夏の青春がつめ込まれていた。

本作の主人公はおそらくバンドボーカルの耕助であり、謎の少女「町子」で
あるだろうが(あとがきにもある通り)夢を諦めたおっさん達へ向けて、
「得山」というキャラクタも、主人公級の立ち回りを見せる。
3人の過去や境遇を回想しながら、西へむかう旅路で心の変化・成長していく。
バックボーンには暗いものが流れているが、舞台である夏の風景が、そんな
重苦しさをふきとばせてくれる。

いわゆるロードムービ的な群像劇。
ダージリン急行もそうだったように、この手のパターンとして、

【目的地A】→【道中(車内〉】→【目的地B】→【道中(車内)】・・・

が繰り返されて話が進む。「目的地」では個々が自由に行動できるため、
身体行動を伴う、対外向きのアクティブな「動」が展開される。
結果、人物の性格が見えてくる。人物の過去などにつながる「きっかけ」も
提示される。
その後「道中」では皆が一箇所に固まるため、おのずと仲間内だけの
展開となる。会話行動などでの仲間内の「静」が展開され、動で現れた
「きっかけ」を使って、さらなる謎や、新たな答えが発見される。
人物の関係性はさらに深みをまし、読者は親近感を強くする。
この繰り返しにより、読者も登場人物と一緒に旅路をしているような感覚を
得るのかもしれない。

筆者の経験が多分に反映されており、筆者自身も大好きな作品と評する本作。
すっかり夏本番。帰省の車や電車内で読みふけってはいかか。


<関連作>
グミ・チョコレート・パイン グミ編 (角川文庫)
大槻 ケンヂ
角川書店
売り上げランキング: 59,675

「筋肉少女帯」で有名な筆者だが、その才能は小説も発揮されまくり。
青春系が多いので、この夏暇なら作者読みしてみては。



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# by 3G_gi_gei_go | 2016-08-03 00:18 | 作品紹介(小説) | Comments(0)
セント・エルモス・ファイアー [Blu-ray]
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (2010-04-16)
売り上げランキング: 13,271

作品名:St. Elmo's Fire
発表:1985年・アメリカ
スタッフ:
 監督:ジョエル・シュマッカー
 脚本:ジョエル・シュマッカー、カール・カーランダー
 出演:エミリオ・エステベス、ロブ・ロウ、メア・ウィニンガムほか

あらすじ:
大学を卒業して社会人となり、4か月後に再会した7人の若者たちの姿を描く。


男女7人の新社会人がいろいろごたごたした結果、
社会人として落ち着いていくよ、という話。
といっても描かれている雰囲気は大学の延長みたいな
ものだ。同じ大学を出たのに、仕事を転々とするもの
もいれば、お堅い系に勤めるものもいて、1980年も
若者の状況は、今と変わらないのだな、と妙に納得した。

男と女が出てくれば基本的に恋愛模様が描かれるのが常。
本作もその点はしっかり中心に据えて描かれている。
個人的には、中の上階級の生活描写が描かれているのが
興味深かった。最近の映画はドンパチかアメコミばかり。
しかも昔の淑女よろしく、結婚するまで貞操を守っている
というのが当たり前だと、同年代の遊び人たちまでも、
きちんと理解しているのが面白い。
そういう概念が残っていた最後の年代なのだろう。

ラストシーンでは、仲間ひとりを見送って6人となったあと
大学からの行きつけバーに入ろうとするが、店内の騒がしさと、
明日も早いことを理由に、店の前を離れるシーンで終わる。
こうやって皆、社会相応のオトナに(成長でなく)変化していく
という提示は見事。

この映画に描かれるようなことは、たいしたことのない誰もが
持っている「青春の残滓」なのだよ、と分からせてくれる。


<関連作>
男女7人夏物語 DVD-BOX
男女7人夏物語 DVD-BOX
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エスピーオー (2001-11-23)
売り上げランキング: 31,419

発表年代も近い。影響を受けていないとは思えない。
しかしなぜ7人男女の組みなのだろうか。これでは
必ず、一人だけアブれるではないか。



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# by 3G_gi_gei_go | 2016-07-27 00:23 | 作品紹介(映画) | Comments(0)
ビューティフル・ガールズ [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2012-03-07)
売り上げランキング: 85,321

作品名:ビューティフル・ガールズ
発表:1996年・米
スタッフ:
 監督:テッド・デミ
 脚本:スコット・ローゼンバーグ
 出演:ティモシー・ハットン、マット・ディロン、ナタリー・ポートマンほか

あらすじ:
バーでピアノを弾きながら生計を立てているウィリーは、
弁護士の恋人とも順調で、そろそろ定職に就こうかと
考えている。同窓会に出席するために故郷に戻ってきた
彼は、実家の父と弟への違和感をもちつつも、昔の仲間と
他愛もない話をしたり酒を飲んだりして過ごす。そんな
ある日、ウィリーは実家の隣に引っ越してきていた13歳の
美少女マーティと出会う。マーティとの関わりを通じて
彼女に惹かれ、自分の進もうとしている道に一抹の疑問を
覚えるウィリーだったが……。
(以上、Wikipediaより)


アメリカの田舎町の27歳の仲良し男5人が、
同窓会のために集まることで、今の自分をそれぞれ
見つめなおす。

ずっと生まれた土地で暮らす若者特有の、現状への
不満と満足が絡まりあった心境を、いろいろな出会い
で表現する。

現状に不満を持ちつつも憧ればかりで変わらない者も
いれば、現状に不満ななく昔の行動様式のまま過ごす
者もおり、同世代であっても様々な人生模様を見せて
くれる。

人生には節目が必要だ。小学から中学、高校など
社会制度として土地や人間関係を区切られる節目も
あれば、一念発起や覚悟を決めるなど、自分から
節目を作ることもある。後者はなかなかパワーの
いる作業。だから前者をうまく利用して成長して
行くしかない。変化はチャンスだと肝に銘じて。

だからこそ社会人になってから節目を望むことは
非常に難しい。進学や就職で都会に出た人間ならば
まだチャンスはあるかもしれない(それも本人の
意思に100%ゆだねられるが)。ということは、
生まれてからずっと変わらぬ土地で暮らし続ける
人間に、節目を作ることは大変な労力なのだろうか。

本作の魅力は田舎独特の狭い人間関係や都会への
羨望。よそ者への憧れなど、漂うが田舎臭さだ。
ニューヨークやサンフランシスコなどを舞台にした
キャラクターとは違い、すかした・気取ったセリフ
は言わない。逆にそういうセリフや態度を言ったら
「なにすかしてんだ」と指摘される。確かに都会から
来た女性を口説こうとする田舎男の背伸びは見ていて
痛々しい。アメリカ映画で見たことなかった場面で
逆に新鮮だった。

10代前半の5年後は変わるが、
20代後半の5年後は変わらない。

当然だが、なかなか妙な話でもある。


<関連作>
ゆれる [DVD]
ゆれる [DVD]
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バンダイビジュアル (2007-02-23)
売り上げランキング: 22,725

田舎に留まった兄と、都会に出た弟を
主人公としたミステリーサスペンス。



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# by 3G_gi_gei_go | 2016-07-20 01:50 | 作品紹介(映画) | Comments(0)

様々なジャンルの群像劇作品を紹介します。更新完了。


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