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残像(小説)

逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選 (ハヤカワ文庫SF)
早川書房 (2015-09-09)
売り上げランキング: 93,332

作品名:残像
著者:ジョン・ヴァーリィ(翻訳:内田昌之)
発行:(原作)1978年(翻訳)1980年
あらすじ:
 世界恐慌から逃れるように西海岸を目指し、
 日本へ密航しようと考えたわたしは、
 道中、視聴覚障害者たちの暮らすコミューンに滞在する。


私は上記「逆行の夏」に収録された作品「残像」を読了した。
読了した瞬間「これはすごい作品だ」と口から飛び出した。

とにかく感動した。自分でも意外なほどに。(感動=泣いた)でなく(感情が動いた)だ。
いきなり今まで読んだ小説のフェイバリット10(いや、5!)に入りこんできた。
 
「すごい」とか「感動した」という曖昧な言葉だけで
具体的に「なにがどうすごいのか」とか「どこがどう感動したのか」を知りたいと思うが、
どうも説明できない。とにかくすごい。

これは「自分の好きな音楽がどう好きなのか」を説明することに似ているかもしれない。
音楽を好きになるのに理屈から入る人は稀だろうから。

そういうことで委細の説明はしない。これが本作に対する正しい説明かもしれない。
なぜなら本作は文字や言葉以外の言語を、文字や言葉で表現している作品だからだ。

エビデンスと説明責任とSNSが跋扈する昨今。
文字や言葉の緊張感が益々張り詰めているように感じる近年。
本作を読んで、文字や言葉が本来持っていた無限に広がる自由な世界を堪能してほしい。

だめだ(いつもながら)あたまごちゃごちゃだあ。


<関連作>
バービーはなぜ殺される (創元SF文庫)
ジョン ヴァーリイ
東京創元社
売り上げランキング: 550,348

『バービーはなぜ殺される』はゴリゴリのSFエンタメで、
「逆行の夏」にも収録されている短編の推理小説。

 SNSによって迫りつつある意思統一時代に向けた
 一つの道しるべになりえるかもしれない。なーんて。

 だめだあたまごちゃごちゃだあ。



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# by 3G_gi_gei_go | 2018-11-12 23:08 | 作品紹介(小説) | Comments(0)
劇場版「フリクリ オルタナ」&「フリクリ プログレ」Blu-ray BOX(初回生産限定版)




作品名:フリクリ プログレ
発表:2018年・日本
スタッフ:
 監督:荒井和人 / 海谷敏久 / 小川優樹 / 井端義秀 / 末澤慧 / 博史池畠
 脚本:岩井秀人
 出演:林原めぐみ、沢城みゆき、水瀬いのり、福山 潤 ほか
あらすじ:
ありとあらゆる命題に明確な答えを用意せず、
生理的欲動の充足のみをシコシコ満喫しその日暮らすような説得力ゼロの青少年たち。

その中でなんてことない日常を過ごすヘッドフォンの少女ヒドミ。
彼女が轢かれた夜、クラスメイトの少年・井出の額から巨大ロボットが出現した!
ハル子から分裂したラハルとジンユと出会い、
〝特別なことなんてない日常〟が終わりを告げる―!!!!!

(以下ネタバレあり)

フリクリ プログレを観た。以下ネタバレ感想。
未視聴者は観ないでください。







監督が6人というのにまず驚き。各話各人が監督しているのだろう。
たぶん監督全員がフリクリファンに違いない。画面から放つ愛が強い気がした。
ストーリーのまとまりがなくなるのかな、とも思ったがちゃんと筋が通っていたのは脚本の功績だろう。

各話各人ということになると、まとまりを気にしつつも、各話の個性も欲しがってしまうのが
欲張りなところである。画風については第5話が顕著で、他は同じ画風ではあったが、それでも各話の随所に
「ああ、この監督はこの演出好きなんだろうなあ」と思わせる演出がところどころ出ていたのが良かった。

フリクリ オルタナ」がオルタナティブ(=代替、新しい)の名の通り、
無印とは別の世界を舞台にした(ような)作品だったのに対し、本作はまさにプログレッシブ(進歩、漸進)。
無印の続編であることを作中に明確に示していた。
(単純に音楽ジャンルの当て付けただけなのは無論ですけどね)

プログレッシブには「革新」の意味もあるが、革新的な内容、とまではいかない。
むしろ無印ファンが喜ぶ演出や引用・オマージュが多数あって、思わずニヤニヤしてしまった。

オルタナでは高校2年生(17歳)が主人公だったのに対しプログレは中学2年生。
どちらもモラトリアムであることは同じだが、無印の小学6年生に近づけたことで、雰囲気も無印に近いものがあった。
全体はめちゃくちゃな流れだが、細部の設定で話の筋をつなぐ作りとか。
(なぜ町中にモチをバラまく?? → ああ、鳥(アトモスク)を捕まえるためのモチ(トリモチ)ね、とか)

声優の演技も見事で、ハルコの声は、はじめはモノマネみたいな違和感があったがすぐに慣れた。
オリジナルの人から変えたのかは疑問があるけど。

総じると、面白かった。
オルタナ同様まとまった印象で(当然と言えば当然すぎるのだが)、無印の時の驚きは得られなかった。
あれから18年経っているのだから驚かせてくれることに期待はしない。斜に構えた中二のように冷静だ。

ただ一箇所だけ気になったのは、ヒドミの変身シーンに流れたカッコいいBGM。
「あー、ここは本当はピロウズの曲を使いたかったんだろうな」と思った。

なんだかピロウズで使える曲がCD一枚分に収まる分だけ、って制約が見え隠れしていたのも、
まとまった印象を覚えた理由の一つかも。
まあ全曲新録なのだからそれだけでも贅沢といえば贅沢なのだが。。。

とりあえずフリクリファンとしては満足だし、なんだかこの展開方法(同じ設定を使って別の場所を舞台にする)を使えば、
これからも続編が作れる気がしてならない。もうこうなったらTVアニメ化を希望するぜ!!!


<関連作>






あんまり関係ないけど個人的にJenny Kaoriさんのイラストは好きです。


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# by 3G_gi_gei_go | 2018-09-30 16:32 | 作品紹介(映画) | Comments(0)





作品名:フリクリ オルタナ
発表:2018年・日本
スタッフ:
 監督:上村泰
 脚本:岩井秀人
 出演:新谷真弓、美山加恋、
青山穣 ほか
あらすじ:
 嵐のごとく登場するハル子。その時カナの額にお花が生えた!
 煙を吐きながら街をぶっ潰すアイロン。
 毎日が、毎日毎日続いていくと思っていた・・・
 力を手に入れたカナはアイロンをぶっ飛ばせるのか!?
(以上、公式HPより)


(※ネタバレあり)
久しぶりに映画館で映画を観た。
それが18年前に観たOVA『フリクリ』の続編である『フリクリ オルタナ』。

当時はラジオで『the pillows』を知り、そのつながりで知った『フリクリ』を観た。
当時はよくわからず、それでもとにかく尖っていたの作品だと興奮したことを覚えている。
ピロウズの音楽もマッチしていた。

それから海外で絶大な人気になって『伝説的』となったフリクリ。
その続編が作られた。それが『フリクリ オルタナ』と『フリクリ プログレ』。
18年経ってファンが作り手側に回った証拠だろう。

まずは『フリクリ オルタナ』が9月7日~9月27日。
その後『フリクリ プログレ』が9月28日~10月18日。

以下『フリクリ オルタナ』の感想。
ネタバレです。

=====


おそらくこの作品は映画としてではなくOVAとして作ったものだろう。
しかしOVAでの発売なんて今じゃもうほとんど売れないのかもしれない。
だから全6話をぶっつづけで映画として放映したのだ。

たぶんターゲットは海外。日本の放送はついで、みたいなのかも、と考えてしまう。
しかし海外は日本で作った『フリクリ』の続編が見たいから、日本のスタッフが作った。

しかし本当に『フリクリ』の続編として観たかったのは本作だろうか。
OVAのFLCLの気持ちで観てしまうと、ちょっとした違和感を覚える。
これはもちろん、仕方のないことと言えばそうなのだが。

まず、ストーリーが結構メイン的に進む。
個人的見解だが前作は、シュールなギャグやど派手なアクションなどがメインで、
その隙間でストーリーを展開させていた感じだった。
(しかしシッカリと話は進むし、各キャラクターの心動もわかる)。

本作はストーリーがきちっとしていた。
話数が進むにつれて、前作っぽいノリになっていった感じがするが、
それでも型からはみ出ないで、分かりやすかった。

そして登場人物もキチっとして、分かりやすいアクションとリアクションを備えていた。
キャラクターを前作の男子小学生から女子高校生に変えたことで、
ある程度の分別が付く年齢となってしまったことで、キチっとしてしまったのだろうか。
前作に醸していたお洒落なエロさ・グロさ・ナンセンスさがすべて、薄まっていた気がした。

なぜ女子高生だったのか。
今や女子高生が『日本』のサブカルアイコンだからだろうか。
だとしたら主人公たちのキャラクター性は、現代の高校生の感覚にマッチしているのだろうか。
オッサンの自分からしても、少し前の古い感じがした。
(だって現役高校生が『DANDANだんく!』なんて知らんやろ。。。)
(オーマイコンブ!とかウルトラ忍法帖とかエルガイヤーとか知らんやろ。。。。。)

とにかく分かりやすかった。
だからフリクリっぽくないな、と感じた。

じゃあフリクリ『っぽさ』とはなんだろうか。

ハルハラハル子が出てくればフリクリ?
ピロウズの楽曲を使えばフリクリ?
ギターで殴れば? ベスパが出てくれば?
(そういえばメタ発言とかがなかったな)

個人的にはフリクリっぽさ って『意味がないこと』だと思う。
今までの出来事が全て終わっても、とくに何も変わらず平常に戻る。

だとしたら本作の終わり方はまさにフリクリ。
だとすると本作は、2018年だからこそ作ることができた、観ることできた今のフリクリなのだろう。
だって2000年のフリクリだって、あの時代だからこそ作られた、観られた作品なのだから。

もしかしたら本作は、前作を視聴していない人たちのための入門編だったのかもしれない。
だとしたら『プログレ』への期待が否が応でも高まります。



<関連作>
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全然関係ないけど個人的にフリクリとマシマロは近いんだ。



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# by 3G_gi_gei_go | 2018-09-09 23:40 | 作品紹介(映画) | Comments(0)

作品名:夜は短し歩けよ乙女
発表:2017年・日本
スタッフ:
 原作:森見登美彦
 監督:湯浅政明
 脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
 出演:星野源、花澤香菜、神谷浩史、秋山竜次(ロバート)ほか
あらすじ:

クラブの後輩である“黒髪の乙女”に思いを寄せる“先輩”は今日も
『なるべく彼女の目にとまる』ようナカメ作戦を実行する。

春の先斗町、夏の古本市、秋の学園祭、そして冬が訪れて…。

京都の街で、個性豊かな仲間達が次々に巻き起こす珍事件に巻き込まれながら、
季節はどんどん過ぎてゆく。

外堀を埋めることしかできない“先輩”の思いはどこへ向かうのか!?

130万部を売り上げた森見登美彦氏の小説を原作にした劇場アニメ。

主人公は「先輩」だが、作中の視点は「黒髪の乙女」が真夜中の京都を闊歩しながら、
ハチャメチャに巻き込まれたりまき散らしたりする一夜を描く。

本来の時間の流れは、とある学生の結婚式後から始まる一夜だが、
風景は春夏秋冬をめぐる。

おなじ作者の作品である『四畳半神話大系』をアニメ化したときのスタッフによって
作られているためテイストもほとんど同じ、というかおなじキャラクターもでてくる。

単独で見ても十分楽しめるが、森見作品の作風を知っていないと
ついていけないかもしれない。
現実の舞台の上にファンタジーをかぶせるマジックリアリズムが、
たたみかけるように繰り広げられ、90分という短さを感じさせない。

連続アニメだった『四畳半神話体系』に興味があるならまずはこちらを
入門編だとおもってみるのも良いかも。

何か意味を得たいと思う人には、ちと合わないかもしれないが、
いい意味で、荒唐無稽な馬鹿話を楽しみたい人はぜひ。


<関連作>

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
森見 登美彦
角川グループパブリッシング
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# by 3G_gi_gei_go | 2018-08-13 20:57 | 作品紹介(映画) | Comments(0)

作品名:デイジー・ラック
発表:2018年・日本
スタッフ:
 原作:海野つなみ
 脚本:横田理恵・山岡潤平
 出演:佐々木希、夏菜、中川翔子、徳永えり、ほか
あらすじ:

子どものころ「ひなぎく会」という名前をつけて集まっていた幼なじみの楓、薫、ミチル、えみの4人は、
えみの結婚式で久しぶりに再会する。だが、まさにその日、楓は勤務する会社が突然倒産し、恋人からも
ふられ、30才目前で仕事も恋も失うことに。楓は子どものころの夢だったパン職人になることを決意。
町のパン屋に職を得たものの、パン作りの道は険しく、先輩の職人・安芸の指導も容赦がない。
楓の新しい人生の始まりとともに、高級エステサロンの仕事にまい進する薫、極貧のカバン職人のミチル、
新婚のえみの日常も、それぞれに思いがけない展開を見せていく。4人の明日は晴れ、それとも雨?
金曜の夜10時が見逃せません!
(以上、公式HPより)

4月よりNHKで放送中の群像劇ドラマ。
幼いころから仲良しのアラサー女子4人組の日々を描く。

一言で言えば「心地いいまでに古臭い」作品。大好物である。
まるで90年代ドラマのようなトレンディ感あふれるお約束の展開が
これでもかとテンポよく繰り広げられる。

・都会を舞台にした閉じた人間関係。
 →登場人物がいろいろな場面で関わりあう。
・男と女が出てくれば即恋愛関係。
 →他社の社員(しかもライバル企業)でも容赦しない。
・奇跡的な偶然の連続。
 →偶然にも出会いすぎ、目撃しすぎ、ヒール折れすぎ。

90年代ドラマを見て育った世代には既視感が心地よい。
おそらくその世代(=リアルアラサー)をターゲットにした作品だろう。
ただし、登場人物の年齢に近いため、随所に共感してしまうのが
昔、90年代ドラマを見ていたときよりも楽しめるている理由かも。

のんびりと眺めるように視聴していこうと思う。


<関連作>
新装版 デイジー・ラック(1) (KC KISS)
海野 つなみ
講談社 (2018-02-13)
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本作の原作。





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# by 3G_gi_gei_go | 2018-05-05 21:47 | 作品紹介(映画) | Comments(0)

作品名:渚くんをお兄ちゃんとは呼ばない ~ひみつの片思い~
著者:
夜野せせり
絵:
森乃なっぱ
発行:2017年
(平成29年)11月24日
あらすじ:
鳴沢千歌、小学5年生の漫画好きの地味女子。なんと、パパの再婚相手の息子が、
学校1のモテ男子・渚くん……。反発する千歌だけど、いっしょに暮らしはじめて、
近すぎる距離の渚くんに、ときめいちゃって……? ドキドキ初恋ストーリー!



作品名:
渚くんをお兄ちゃんとは呼ばない ~ありえない告白~
発行:2018年(平成30年)3月23日
あらすじ:
学校1のモテ男子・渚くんと、きょうだいになってしまったまんが好きの地味女子・千歌。
イジワルだったりやさしかったりする渚くんに、毎日ドキドキしっぱなし!
ある日千歌は、まんがクラブの先輩にワケアリの告白をされて…!?
絶好調第2弾!


本作はいわゆる「グッドモーニングコール」系である。
もっと古手で言えば「ママレードボーイ」系ともいえるかもしれない。
そう考えれば集英社の得意ジャンルかも。

さておき本作は集英社みらい文庫から刊行されている小学生向け小説。
読者対象は小学中級(なんだ中級って)で、ライトノベルよりも対象年齢は低いようだ。

物語は影の薄い女の子が、クラス一人気者の男の子と一緒に暮らすという王道の足バタバタ案件。
「秘密の共有」はいつの時代も親密の第一条件である。

そんな本作の魅力はなんといっても文章力である。これほどの文章を書ける人はなかなかいない。
それは小学生向けに優しく書かれている、という意味での文章力ではない。
簡潔な文字数で的確な情報量を過不足なく表現している。
主人公の感情、風景描写、各キャラクターのセリフやしぐさ。
(余談だけど「これ、メイプルシュガーの?」というセリフは素晴らしいね)
すべてを文字という同じサイズのブロックを並べて表現しなければならない小説という作法で、
本作は見事な言葉の取捨選択が行われている。読みやすく分かりやすく、あっさりもせずくどくもない。
ストーリー展開も起伏に富んで飽きさせず、全体を貫く主人公の成長も感動十分だ。
(キーホルダーがキーとなり、最後にダブルミーニングの材料になる展開はしびれました)

物語同様、文章も「王道」な本作。
ぜひとも万人に読んでほしい作品。

=======================================
好きすぎて考察をこじらせると、第1巻32Pにある、
ちなみに、あたしもメグも、少女まんが風きらきらお目目。ばっちり美化されてるのだ。
という文章をうがって読んでしまうことで、本作の読み方がギョッと変化してしまう。
つまり本作に描かれているきらきらお目目の主人公は、主人公の妄想であって、
実際の主人公たちはまったく違った風貌なのではないか、という「水槽の脳」的解釈(ちょっと違うね)
が出来てしまうのである。。どうでもいいことですが。。。

<関連作>
らんま1/2〔新装版〕(1) (少年サンデーコミックス)
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同居モノ。。。ちょっと違うね。




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# by 3G_gi_gei_go | 2018-04-11 21:02 | 作品紹介(小説) | Comments(0)

下妻物語(映画)

映画「下妻物語」
映画「下妻物語」
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(2016-08-31)
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作品名:下妻物語
発表:2004年・日本
スタッフ:
 監督:中島哲也
 脚本:中島哲也
 出演:深田恭子、土屋アンナほか
あらすじ:

 ロリータファッションを愛好する竜ヶ崎桃子(深田恭子)と
 レディースの白百合イチゴ(土屋アンナ)が、
 茨城県下妻市を舞台にして友情を深めていくコメディ。


誤解を恐れずに言えば、本作はエンディングの『あのシーン』のための映画である。

幼くしてロリータファッションに目覚めた桃子は、
下妻という絶妙な田舎(これが北海道とか九州ならば、東京はただの幻想郷になりさがる)で、
日常的にロリータを着る特異な女子高生。
どこまでも田んぼの続く農道でひとりただずむ甘ロリはそれだけで画が強い。

田舎の閉塞さのなか、周囲の理解も得られないロリータファッションに一人熱中する桃子。
そこに田舎(それも都会から少しだけ離れた田舎に特有の)でよく見かける前時代的な
女ヤンキー・イチゴが現れ、ひょんなことから二人は(ほとんど一方的に)仲良くなる。

桃子の挑戦やレディースの抗争などを通じて、二人の友情が深まっていくストーリーである。

が、本作の見どころはそこではないと私は思っている。
私だけがそういう見方をしただけなのは重々承知しているが、それでも私にとって
『あのシーン』のインパクトはすごかった。

それはエンディングにあるイチコのロリータファッションを着るシーンである。
さらに細かく言えばそのポスターが掲げられたシーンに集約される。

私にとって本作の本編は上のシーンのための壮大な前置きに過ぎない。

イチコが、親友である桃子のお願いということでロリータの格好をする。
そしてその恰好がとてつもなくキュートに見えるのは、土屋アンナ元々の見てくれだけでなく、
映画本編で形成された二人の強い友情があってこそ発揮されるキュートさである。
このロリータショップのポスターのモデル(イチゴ)が、どうしてでカメラに向かってメンチを
切っているのかを知るには、ストーリーがなければならない。

映画や小説などにおいて、たったひとつのシーンやたったひとつのセリフを表現したいがために
作ったとされる作品は少なくない。
本作はそうでないかもしれないが、私はそういう見方をしてしまった。



<関連作>
パコと魔法の絵本 [DVD]
デスペラード (2009-03-06)
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個性が強くて見る人を選ぶ中島哲也監督作。
テレビの芸人番組やバラエティ番組を良く見る人には逆にみやすいかもしれない。




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# by 3G_gi_gei_go | 2018-03-11 20:24 | 作品紹介(映画) | Comments(0)
テレビの黄金時代
テレビの黄金時代
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小林 信彦
文藝春秋
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作品名:テレビの黄金時代
著者:小林信彦
発行:2005年(平成17年)
内容紹介:
「夢であいましょう」「シャボン玉ホリデー」がはじまった1961年から10年余り、
娯楽の王様としてテレビは黄金時代を迎えた。渥美清、クレイジー・キャッツ、坂本九、
青島幸男、前田武彦、コント55号らが人気を博し、上り坂のメディアの作り手たちは
若くて熱かった――その舞台裏をいきいきと描くメディア現代史!


本作は小説ではなく、ノンフィクションルポ『のようなもの』である。
1953年に始まったテレビ放送。それが最も元気だったいわゆる
『黄金時代』を1962年~1972・3年として、その間に放送された
番組と、関わったスタッフ・キャストのエピソードが時系列に記されている。
時に当事者として関わり、時に遠くから分析眼を向けていた著者の視点から
書かれている。
つまり群像劇ではない。
が、誰しもが一度は顔を見たことのある著名・有名人のが次々に登場する
エピソードはまさにリアル群像劇といえ、ミーハー心をワクワクしてくれる。

・黒柳徹子に顔面パイを受ける著者(しかもNHKの番組で!)
・青山幸雄を『ルーサ(猿)』と面と向かって罵倒する大橋巨泉
・坂本九のバラエティの裏は高視聴率番組の「おそ松くん」
・クレイジー・キャッツの看板・植木等と天才・谷啓。そしてハナ肇
・手違いで作られたセットを見て15分でコントを作り上げた加藤茶

(しかしこれもあと10年(2020年代ぐらい)もしたら、誰それ?
 となるのだろう。特徴の固まりである渥美清の顔すら知らない人たちが
 出てくるに違いない。もう出ているか)

昭和を彩ったテレビヒーローたちのエネルギッシュな熱量が
まざまざと伝わってくる。出てくる誰もがテレビの仕事に対して全力で
真剣にぶつかっているということ。
高度経済成長期という『世間の雰囲気』も関係しているだろうが、
『仕事=人生』という感覚は、オンとオフを上手に切り替えられる
今の時代の勤め人にはピンとこないだろう。

それはサラリーマンがまだ職人だった最後の時代と言えるのだろうか。

上に「高度経済成長期という『世間の雰囲気』」と書いたが、それは
勝手に湧いて出てきたわけでなく、職人的サラリーマンたちの頑張りに
よって作られたのかもしれない。

あの頃は良かった、というノスタルジーに浸るというよりかは
単純な物語として十分面白い本作。
より楽しむには以下に紹介する他の小林信彦史を読むことをお勧めする
<関連作>
日本の喜劇人 (新潮文庫)
小林 信彦
新潮社
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植木等・藤山寛美・伊東四朗について書かれた批評本。


夢の砦
夢の砦
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小林 信彦
新潮社
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『夢の砦』は小説。分厚い二段組みのハードカバーで読み応え抜群。



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# by 3G_gi_gei_go | 2018-01-28 23:25 | 作品紹介(その他) | Comments(0)
レザボア・ドッグス (字幕版)
(2016-01-01)
売り上げランキング: 15,942

作品名:レザボア・ドッグス
発表:1992年・アメリカ
スタッフ:
 監督:クエンティン・タランティーノ
 脚本:クエンティン・タランティーノ
 出演:ハーベイ・カイテル、ティム・ロス、エディ・バンカーほか
あらすじ:

宝石強奪のために集められた、互いの素性は知らない6人の男たち。
彼らは計画どうり宝石店を襲撃するが、逆に包囲していた警官隊の
猛攻撃を受ける。彼らの中に警察の「犬」が紛れていたのだ。
(以上、Amazonより)
低予算で作られた傑作群像劇。
言わずと知れたクエンティン・タランティーノの処女作。ライク・ア・バージン。

筋の中心は、この中に裏切り者がいる、というとてもわかりやすいテーマ。
しかしエンタメ性十分のテーマ。これほどの分かりやすく使い古されたテーマを
どうやって料理するかが監督の腕の見せ所、と言わんばかりにタランティーノ節が
炸裂します。

ちょいグロい場面もありますけど、おススメです。


<関連作>
キル・ビル Vol.1<USバージョン> [Blu-ray]
ジェネオン・ユニバーサル (2012-04-13)
売り上げランキング: 86,393




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# by 3G_gi_gei_go | 2017-11-23 19:08 | 作品紹介(映画) | Comments(0)

シンプルプラン(映画)

シンプル・プラン [DVD]
東宝 (2001-03-23)
売り上げランキング: 99,391

作品名:シンプルプラン
発表:1998年
スタッフ:
 監督:サム・ライミ
 原作・脚本:スコット・スミス
 出演:ビル・パクストン、ブリジット・フォンダ、ビリー・ソーントンほか
あらすじ:
ハンクは妊娠中の妻とともに田舎町で貧しい暮らしを送っていた。
ある日、ハンクと失業中のハンクの兄ジェイコブ、そして同じく失業中の
ジェイコブの友人ルーは、墜落した自家用機の中から440万ドルの現金を発見する。
この大金が自分達の未来を変えてくれると信じた三人は、現金を自分達の物にする
ためのシンプル・プランを立てる。
(以上、Wikipediaより)

善人が善人のまま悪事を働き、深みにはまっていく様子を淡々と描写した傑作。

シンプルプラン(簡単な計画)が、徐々に取り返しのつかない事態へと進んでいく
ストーリー。身なりも体裁も良い主人公・ハンクと、うだつの上がらない無職の兄
・ジェイコブ。そしてジェイコブの親友・ルーの三人。

舞台は雪の降るアメリカの片田舎。登場人物はみな貧乏。主人公だけ大学出で有職。
仕事もないジェイコブやルーは、周囲から異常に見えて、町の人からも忌み嫌わていた。

しかし物語が進むにつ入れて、実はいたって普通に<罪悪感を抱くことが出来る>
人間なんだと分かってくる。反対に、町の皆から慕われてた主人公(とその奥さん)
が、次々と犯罪隠ぺいのプランを考えていく。

客の心理を操るのがうまい作品。
最初は主人公側に寄って視聴するため、犯罪を隠ぺいしようとする彼を応援する
気持ちだった。だからジェイコブやルーの軽率な・行動には、主人公と一緒に
やきもきするのだ。

しかし物語が進むと、実は彼らの方こそまっとうな心を持っている普通の人だと
思えるようになる。だからといって主人公が狂人か、と言われればNOだろう。
この物語には普通の人しかでてこない。

しかし惨劇は起こった。
だから本作の出来事は、もしかしたらどこかの田舎で実際に起こりうるような奇妙な
現実感がある。それぞれの登場人物の現状も、自分たちにかさなっている部分もある
のがまた、リアリティを出している。


(ルーが撃たれたときはウルっときたけど、直後にその奥さんが吹っ飛んだときは笑っちゃったよ)


<関連作>
シンプル・プラン (扶桑社ミステリー)
スコット・B. スミス
扶桑社
売り上げランキング: 251,320




原作本。


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# by 3G_gi_gei_go | 2017-10-01 09:48 | 作品紹介(映画) | Comments(0)

様々なジャンルの群像劇作品を紹介します。不定期更新中。


by Wonder_Style_3G