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群像劇パーティ!

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満員電車は走る(音楽)



作品名:満員電車は走る
発売日:2012年(平成24年)
アーティスト:曾我部恵一バンド

テクノロジーが発展し続けるにも関わらず、
20世紀からなくならない悪癖のひとつが満員電車だ。
満員電車が好きと言う利用者は皆無だろう。誰もが乗りたくない。
しかし乗らないわけにはいかない。でなければ日々を生きられない。
だから満員電車は満員となる。分かっちゃいるのに止めらない。

辛い現状に甘んじて満員電車に乗り込む人々。できればこんな辛いこと
したくない。毎日すし詰めで、好きでもない仕事にいくことなんて。
けど、じゃあ他に好きなことはあるか、暮らして行けることはあるか、
と考えると、それも思いつかない。たぶんない、と諦めて、現状をつづける。
その心情をそのまま表したものが満員電車という現象なのだろうか。

ただし満員電車に乗るのはサラリーマンだけでない。
アルバイトの面接を受けに行く女や、学校に通う子供も、
同じ時間帯に満員電車に乗らなければならない。

満員電車とともにある人生。本作はその現状を問いかける。
1億2760万人へ強く、寄り添うように問いかける。



曽我部恵一BAND
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# by 3G_gi_gei_go | 2017-03-15 00:48 | 作品紹介(その他)
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物語シリーズ セカンドシーズン 猫物語 白、傾物語、囮物語、鬼物語、恋物語、花物語 完全生産限定版全12巻セット [マーケットプレイスBlu-rayセット商品]

作品名:物語シリーズ セカンドシーズン
発表:2013年・日本
スタッフ:
 原作:西尾維新
 総監督:新房昭之
 監督:板村智幸
 出演:神谷浩史、斎藤千和、堀江由衣、花澤香菜ほか
あらすじ:

とある日本の田舎町に住む高校生・阿良々木暦は、春休みに襲来した

吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに

襲われたことで吸血鬼の体質を持つ人間となった。それからの半年間、

阿良々木暦は様々な怪異に関わった少女たちと出会い、その事件を

解決していった。夏休みが明け、私立直江津高校にも二学期が訪れ

ようとしていた。怪異を克服したはずの少女達に新たな「怪異」が襲来する。

(以上Wikipediaより)



ゼロ年代作家の代表・西尾維新 原作のTVアニメ。
化物語、偽物語+猫物語(黒)につづく第三期。

『猫(白)』『傾』『囮』『鬼』『恋』『花』それぞれで、
単独のキャラクター一人に焦点を当てて描かれる。

各話の時間軸をクロスさせ、時系列をシャッフル
させている。そのため話の節々に、別話での出来事が
からんで、ストーリーを層的に見せている。すべてのシリーズを
見て、ネットなどで時系列を調べれば、全体の流れが分かり
より深く楽しむことができる。

じゃあ調べなかったら楽しめないかと言えばそういうわけでない。
話の節々で分からない場所が出てくるのは確かだが、それを補うほどに
『魅せ』てくれるのは、映像の演出と声優の演技のすばらしさ。
過剰なまでの演出的演出と演技が、心地よい視聴を可能にしている。

とはいえ深く楽しむには最初から見るに限る。
まずは『化物語』から見るのがおススメ。



<関連作>
化物語(上) (講談社BOX)
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西尾 維新
講談社
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# by 3G_gi_gei_go | 2017-03-08 00:00 | 作品紹介(その他)

バベル(映画)

バベル [Blu-ray]
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作品名:BABEL
発表:2006年・アメリカ
スタッフ:
 監督:
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
 脚本:
ギジェルモ・アリアガ 
 出演:
ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、役所広司、菊地凛子ほか
あらすじ:

 仲を修復しようとモロッコ旅行をする夫婦が乗る観光バスに銃弾が撃ち込まれる。
 ベビーシッターは結婚式のため、面倒を見ている子供2人を連れてアメリカから
 メキシコを越える。そして日本では聾の女子高生が普通の生活をしたいと、
 つづけていた。


場所の違う場所で起こる出来事が少しだけ絡み合う群像劇だが、
最後に一本になる、とはならない。テーマ指向の群像劇。

時間軸も少しづつずらされている。本作のテーマは人と人とのつながり。
バベルの塔の罰として、人々の言葉がバラバラにされた通り、
言葉の通じない人々がどうやってつながっていくか、いけないかが表現される。

各話がどうつながっていくのか、を楽しみたい群像劇ファンには
少々物足りないかもしれない。


<関連作>
シリアナ [DVD]
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バベルと同じような構成の群像劇作品。
キャッチコピーは『全部、つながっている』。
で、タイトルがシリアナ。。。




# by 3G_gi_gei_go | 2017-03-01 00:00 | 作品紹介(映画)

夜警(絵画)


作品名:夜警
作家:レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン
発行:1642年・オランダ


集団肖像画というジャンルの画がある。
市井の人々が比較的有名な画家に肖像画を描いてもらうことは、
難しかった。それは金銭的な問題によるところがほとんど。
宮廷画家に依頼するともなれば、それこそ宮廷に住まう人々が
払うような額で依頼しないといけない。そもそも宮廷画家は
庶民ひとりの肖像画などそうやすやすとは受けぬだろう。
そこで人々は考えた。一枚のキャンパスに一人を書くのでなく、
一枚に複数人を描いてもらうのだ。お代は描いてもらう人々が
皆で出し合うことで、一枚に一人描くよりも安くで依頼できる。

そうして集団肖像画はその時代に大流行した。主に組合単位で、
同額で集金したお金を支払い、大きめのカンバスに皆の肖像を
描いてもらう。
もちろん一人用の肖像画のように正面をきちんと向き、
皆平等に支払った分の通り、皆平等のサイズで描いてもらう・・・

・・・のが、集団肖像画のルールだった。
しかし本作『夜警』は違った。大きく違った。
人々の大きさはバラバラで、しかも向いている方向もバラバラだ。
しかしそれでこそ、この画はピタリと収まった統一的構図を醸している。
一枚の画として大完成に至っている。
それまでの集団肖像画のルールからは、明らかな逸脱だったにも関わらず。
皆平等に支払ったにも関わらず。
(実際は、中心に描かれたフランス・バニング・コック隊長と隣の
ウィレム・ファン・ラウテンブルフ副隊長は、こっそり多めに
払っていた)

肖像画と言えば、普通は写真っぽく、正面をむいて無表情なものが多いが、
本作は構図に凝り、ポージングに凝り、配置に凝っている。
そして後年着けられてしまった名前『夜警』が加わることで、
今から、彼ら勇敢なる市民隊が市民の安全のために夜間警邏に向かおうとしている、
そんなドラマが浮かび上がる。彼ら市民一人ひとりに物語があるように見えてしまう。

当時すでに富と名声を手に入れていた光と影の画家・レンブラント。
そんな彼がどうしてこのような、斬新な構図の集団肖像画を描いたのか。

1.挑戦。「俺は集団肖像画をこんな構図で描きたいんだ!」という野心。
2.プライド。「このレンブラント様が、庶民ごときに依頼された仕事なんぞ、
  そうほいほいと出来るか!」という傲慢。

1でも2でも、発表後の世間の評判を見れば理由がつく。
「絵画的」と称賛される一方で、クライアントの意に反したとして批判もされた。
後年の没落ぶりから言って後者が強かったようにも思えるが、なんともいえない。

そう考えると1と2、双方を複雑な心境で内包していたのかもしれない。
そう考えなければ現在も名画・傑作として残らなかったのではないか。
アムステルダム国立美術館にも展示されなかったのではないか。


<関連作>
Kadokawa Art Selection  レンブラント  光と影のリアリティ
熊澤 弘
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# by 3G_gi_gei_go | 2017-02-22 00:00 | 作品紹介(その他)

ひかりごけ(小説)

ひかりごけ (新潮文庫)
武田 泰淳
新潮社
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作品名:ひかりごけ
著者:武田泰淳
発行:1954年(昭和29年)
あらすじ:
雪と氷に閉ざされた北海の洞窟の中で、生死の境に追い詰められた人
間同士が相食むにいたる惨劇を通して、極限状況における人間心理を
真正面から直視した問題作『ひかりごけ』。


本作の構成は独特極まりないものである。

前半は天然記念物の『ひかりごけ』を取材しにきた「私」に、
地元の中学校長がペキン岬の惨劇の話を『おかしくてたまらぬ風に』話す。
そしてこの惨劇を年若きS君が『小説的に』書いた郷土史の一項が記される。

後半は脚本風となる。括弧内のト書きと、人物名とセリフが最終ページまで
続くのである。内容は上記の惨劇の始終と、その後の裁判風景だ。
そして本作が最も、群像の輝き増したるは後半の脚本風小説場面である。

食人の罪で裁かれた唯一の生き残りである船長と、死んだ船員・八蔵と五助、
そして最後まで生きて生死の極限を見た少年・西川。彼ら四人がくりひろげる
遭難小屋での状況描写。そしてその後の裁判での、被告人・船長の描写。

脚本は映像的表現のための材料であるが、本作はあくまでも小説。
小説として、本作を核心部分を表現するため、後半の脚本風描写が功を奏している。

脚本は基本的にほとんどをセリフで表現される。ト書きで動きを示すが、
これらを十二分に表現発揮するのは役者の領分だ(と思っています)。

本作は脚本表現をもちいることで人物から、行為を分離させることに成功している。
船長の犯した食人の罪は、船長のキャラクターやバックボーンとはなんの関係もない。
これは舞台上で表現されたことだけが全てである演劇の、脚本表現によって見事に
表されている。

断罪されうる憎むべき行為が、しかし船長という登場人物に紐付かれずに、
ただそこにあっただけであり、それを私が読んだだけである、という心地よい
距離感のある読み方ができた。
キャラクターに肩入れしないで物語に没入することができるという、
満足する読後感を味わうことが出来た。

それだけで素晴らしい。


<関連作>
野火 (新潮文庫)
野火 (新潮文庫)
posted with amazlet at 17.02.03
大岡 昇平
新潮社
売り上げランキング: 9,022





# by 3G_gi_gei_go | 2017-02-15 00:00 | 作品紹介(小説)

様々なジャンルの群像劇作品を紹介します。不定期更新中。


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